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191

妹兄191
「ですが命の重さは知ってるつもりです!」
「今日は私もお話しようと待っていました、今日であなたとの契約を打ち切らせてください、ここを出ようと思っています…」
「ば、ばかな! あなたも今も治療を心待ちにされてるはずです」
「私にもよく分からなくなってきてるんです、でも言われてた催眠療法を一度だけ受けてみようと決心しました…」
「そ、そんな勝手な条件なんか付けられても困る、皆を救うと言われていた、あの気持ちが消えてしまったんですか? 私は医師なんですミナヨさん!」
『どうしたらいいんだ…』
 額を手で押さえうつむいてしまったサイトウは、ベッドわきに置かれたゴミ箱にタバコが箱ごと捨てられているのに気づいた。
『先生…、私はオカムラミナヨじゃないんです…』
「退行催眠は一回で済むとかそういうものでは無いんです…、私もこんなことは初めての試みで…」

 外科医としての治療や、研究に手詰まりを覚ていたサイトウは、心理面での調査を行おうと、彼女に退行催眠を受けさせようとしていた、ミィナは分裂した瞬間のことをほぼ覚えておらず、やってみるべきだと彼は考え説得を続けていたが、それが彼女にどんな影響を与えるのか未知の不安は否めなかった。

「だめでしょうか?」
「あなたとは精神治療の先生と同席して、治療にあたるべきだとずっと考えていたんです、外科医に心のケアまでは無理なんです…」
「はい、心の準備はできてます」
「分かりました所詮僕はただの医師、心までは変えられないんです、二時に迎えに来ますね…」
 彼が部屋を出て行くと、ずっと封印していた闇の扉を開くかもしれず、ミィナはこれから起きる事に恐怖を感じていた。
『一人は影、一人は人間…、それとも両方とも化け物…、でも、そんなことはもう…』
 ミィナはうつろな顔に頬杖をつき、静かに目を閉じた。
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