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208

妹兄208
 時間がどれくらい経ったのかわからなかった、悲くて切なくて、打ちひしがるままに、ベッドの下でうずくまっているユウキ、狂い、怒りに任せた母の暴言、その全てが嘘だと信じたかった。だが、母の瞳の奥に、いつか見た情景、彼女の悲しげな表情。それが、自分を本当に殺そうとした。それが本当のこと、事実なのではないかと感じてしまっていた。
『なぜ、僕を手にかけるんだ、なぜ…、なぜ…』
 ミィナの話すことは謎が多すぎた。全てが謎に包まれ、子を翻弄していく。

 ミィナは眠ってしまったらしく寝息をたてていた、すると誰かに肩を揺すられゆっくり顔を上げると、腫らした顔で、腰のあたりを押さえ息をするのも辛そうなサワダが、ユウキを外へ連れ出そうとしていたが、見かねたユウキは彼をソファに座らせていた。
「すまなかった…」
 ユウキは相手の顔を見れず、うなだれたままつぶやいた。
「…いいんだ、俺も久しぶりに彼女に会って舞い上がっていたんだよ」
「さっきの話を聞かれたか…」
「…いや、実の所動けなくてな、聞くとも無しに聞こえていた」
「傷の手当てしないと…」
「気にしなくていい」
「本当にミィナの恋人だったのか?」
「あぁ、まさかお前の母親だったなんて…、お前に惹かれたのは歌だけじゃなかったってことだ…」
「すごい昔の話しだろう? 焼けぼっくりに火って言うには、余りにも時間が経ち過ぎてないか…」
「…笑うなよ?」
 腫れているまぶた、皮下出血が紫色に変色した男は真剣に彼を見つめ、
「そんな気力なんか無い…」
 ユウキは力なく言い返す。
「彼女のことは本気だった、だから別れを告げられた俺は追う事もせず去って行った、この性癖が仇になってな…」
「そう…」
「ミィナは必ず良くなる、ミィナが言った”あいつ”が誰なのか分からんがそいつを連れて来ればいい、殺意のような凄まじい情念を開放したがってるんだ…、そしてお前はそれを見守るんだ、何があっても彼女を守るしかない…」
 無言のユウキの手を、力強く握っているサワダ。
「俺は心理学を専攻していたから、人が変わっていく様をたくさん見てきた、彼女は狂ってなんかいない、どうしようもない悲しみが爆発してるんだ、死んでしまった最愛の恋人とお前が重なって、自分を置いて消えた誰かを憎んでもいる、ミィナはお前を見るたび思い出してるんだ、永遠とその事を引きずって生きてきた、お前が苦しいのは分かる、でも、やけになるなよ?」
 ユウキの長い長い沈黙。
「…一つだけ聞かせてくれ」

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