328 切断
328
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山の木々が強い風になびきざわつく音が激しくなる中、舗装されていない道を一台の四駆が走っていた。男の運転する車が林を抜けるとそこに、うっそうとした暗い森にぽっかり現れた平坦な敷地にひっそりと立つ廃屋が見えていた。廃墟寸前のようなその建物はコンクリート塀と蔦に覆われてしまっている金網で囲われ、門には”有限会社グリーンハピネス”とかろうじて読める表札が掲げられていて、入り口の錆びた鉄柵の門に、”売り地 危険に付き立ち入り禁止”と書かれた看板があったが、結ばれた片側の針金が腐食し切れてしまい吹く風に裏返しにされバタバタと揺れていた。
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屋内の最深部、行き止まりにある焼却炉前に徐行しながら注意深く車を止めた男が車を降りると、棚からガスマスクを取り首に掛け、魚屋がしてるようなエプロンにゴム手袋をし、車の後部ハッチから縄でくくられたビニールシートに包んだ重そうな積荷を少し手前にずらすと、天井からぶら下がっているフックに掛けジャッキを操作し、古そうな手術台の上へ移動させていった。
縄が解かれビニールシートがめくられていくと中から、体中のあちこちに暴行を加えられた痕の見える年老いた男性が現れていた。その顔は腫上がり歪み血の気は無く真っ白で既に死んでいると思われたが、男は棚に並べた道具たちの中からチェーンソーを取るときちんとマスクを顔に被り、スターターを引いていた。唸るエンジン音は外を吹きすさぶ風や木々の音に紛れるまま四肢はバラバラに引き裂かれていき、血しぶきが手術台の四方に張り巡らせてあるビニールカーテンや男の体、ガスマスクに飛び散ると前が見えないと指で拭(ぬぐ)っていた。
「ありがとうありがとう、だからサヨナラ・・・」
マスクの中に覗いたドロリとした生気の無い瞳は、老人に語りかけながら白髪を掴み上げ首を切断すると勢い余って飛ばしてしまい床にゴロゴロと転がっていった。
■本日の一言:
「白戸家のお父さんの声が北大路欣也だったってはじめて知りました(笑)」
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山の木々が強い風になびきざわつく音が激しくなる中、舗装されていない道を一台の四駆が走っていた。男の運転する車が林を抜けるとそこに、うっそうとした暗い森にぽっかり現れた平坦な敷地にひっそりと立つ廃屋が見えていた。廃墟寸前のようなその建物はコンクリート塀と蔦に覆われてしまっている金網で囲われ、門には”有限会社グリーンハピネス”とかろうじて読める表札が掲げられていて、入り口の錆びた鉄柵の門に、”売り地 危険に付き立ち入り禁止”と書かれた看板があったが、結ばれた片側の針金が腐食し切れてしまい吹く風に裏返しにされバタバタと揺れていた。
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縄が解かれビニールシートがめくられていくと中から、体中のあちこちに暴行を加えられた痕の見える年老いた男性が現れていた。その顔は腫上がり歪み血の気は無く真っ白で既に死んでいると思われたが、男は棚に並べた道具たちの中からチェーンソーを取るときちんとマスクを顔に被り、スターターを引いていた。唸るエンジン音は外を吹きすさぶ風や木々の音に紛れるまま四肢はバラバラに引き裂かれていき、血しぶきが手術台の四方に張り巡らせてあるビニールカーテンや男の体、ガスマスクに飛び散ると前が見えないと指で拭(ぬぐ)っていた。
「ありがとうありがとう、だからサヨナラ・・・」
マスクの中に覗いたドロリとした生気の無い瞳は、老人に語りかけながら白髪を掴み上げ首を切断すると勢い余って飛ばしてしまい床にゴロゴロと転がっていった。
■本日の一言:
「白戸家のお父さんの声が北大路欣也だったってはじめて知りました(笑)」
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